そもそも、四国一周遍路旅を決めたのは、単純にやってみたいと思ったからだ。年齢・実施時期を考えると辛いことは分かっている。周りの人にはバカな行為に見えるかもしれない。でも、理屈ではない。長年道場に通い稽古を続けてきたが、これとまったく同じである。やりたいことに理屈などない。
仕事柄、頭で考え損得で行動することを続けてきた。生きていく上では必要なのだが、こればかりではウンザリする。
家族は前日まで反対していたが、出発の朝は快く見送ってくれた。ありがたいことである。
今徳島に向かうフェリーの上で風に吹かれいる。心地よい時間を使って、ここまでに至った経緯を整理してみた。自分の思考・行動の棚卸しである。こんな時間が持てるのもお遍路さんの役得かもしれない。これこそ最高の贅沢だと思った。
・なぜ遍路旅なのか?
私が通っている道場の師範が歩き遍路を達成したことが、大きなきっかけである。私は、仕事の都合で宗家が指導されている平日の稽古に参加できず、師範が指導されている土曜の稽古に通った。
師範は、多忙な仕事の合間をぬって、夏休みと年末年始の休みを利用し約5年間かけて結願した。たくさんの話を聞かせてもらったが、全国から何十万円もかけて来ている人がたくさんいるとのこと。私は四国で生まれ育ち、お遍路文化が身近にありながら、何も感じず、何もしてこなかった。非常にもったいない時間を過ごしてきたと思った。
いつの日か、ぜひ自分でもやって見たい、そして、師範をはじめ遍路旅を敢行するたくさんの人を惹きつけるものは何なのかを確かめてみたいと心に決めた。
・なぜ自転車なのか?
遍路旅をやってみたいと思ったものの、膝に不安があり歩き遍路には自信がなかった。高校時代から定常的に運動を続けており、膝を相当酷使してきている。長距離歩行や山歩きをすると、いつも最後は辛い。やりたい気持ちはあるが踏みきれない自分に悶々としていた時に、元サッカー日本代表・前園氏の自転車遍路の番組を見た。「膝が不安な私でも行けるかも?」と、頭をよぎった。
その後しばらくたった休みに高校時代の友人たちとの飲み会があった。卒業以来の恒例行事で、私を含めた6名が毎年夏と年末年始に集まって飲んでいる。その時、友人のSが、ロードバイクでしなまみ海道を走った爽快感を語った。そして、一緒にやろうと声をかけてきた。私は躊躇なく手を挙げて自転車を買う宣言をした。そして、これが自転車にハマる始まりとなった。
思い返すと、こんなところだろうか。行動する気持ちがあれば、神様仏様が何らかの活路を与えてくれるのかもしれない。希望は捨てないことである。
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