2021年8月28日土曜日

四国一周遍路旅を終えて

昨日、家に到着し、今はのんびりしている。
中断期間を挟んで約1ヶ月、長いようで一瞬だったような気がする。

行程、走行距離、費用を整理してみた。
高野山へのお礼参りは別日にしたので、その分は入っていない。

日程:移動:2日、お遍路:21日
走行距離:1985km(お遍路:1803km、移動:182km)
費用:¥259,400
 内訳
  宿泊費:¥124,000
  納経費:¥26,700
  結願証明:¥2,000
  交通費:¥8,400(フェリー、ロープウェイ)
  食費・飲料費:¥90,000
  洗濯他:¥8,300
  
費用は25万円くらいを見込んでいた。宿泊費は、想定より安くあがったが、その反面食費と飲料費が大きく上回った。開始時期は食欲が減退したが、その後一気に盛り返した。元気で過ごせたので、よしとしよう。
走行距離は出発前の試算から500km近く上回ってしまった。自転車に乗りはじてめて1年半で約3,000kmくらい走っていたので、この1ヶ月で1年分の走行をしたことになる。これが、荷物の重量負荷にくわえて自転車への負荷がかかる要因となったとも言える。タイヤは前後ともパンクしたが、チューブレスレディに替えておいたことが功を奏してなんとか持ち堪えた。一部不具合が出たが、調整でなんとかなったため、部品交換もなしである。但し、GIANT今治店で言われたように、スプロケット、チェーンの摩耗が大きいため交換は必要で、タイヤも今後を考えると交換する方が良い状態になっている。

また、気候については、前半は酷暑、後半は雨+酷暑だった。

今回の遍路旅は、遍路旅を敢行するたくさんの人を惹きつけるものは何なのかを確かめてみることだった。そして、どんな世界が見えるのか、この目で見てみたかった。

本日時点では、遍路旅をすることで見えた世界、というか、感じた世界は、以下の三つだと思っている。日が経つにつれて、もう少し増えてくるかも知れない。

一つ目は、「見えない力」である。この「見えない力」が導いてくれたり、背中を押してくれたりする。そして、それが「お陰様」の精神につながる。
二つ目は、「自分の内面」である。これは、自分の弱い部分であり、具体的には、頭では分かっているが行動が伴っていない部分のことだ。
三つ目は、「当たり前のことが当たり前にできること」が、本当にありがたく思えることである。

一つ目の「見えない力」については、5月中旬の出発が7月後半にずれ込んだことにつながる。今回は、酷暑、雨、重い荷物、自力走行という厳しい条件が揃った状況で遍路旅を敢行した。この状況だからこそ見えたり感じたりしたものがたくさんあった。季節の良い時期に出かけていたら分からなかったような気がする。また、予定通り進めなかったから訪れることができた場所などがあり、お大師様の導きを感じた。

二つ目の「自分の内面が見える」ことについては先日も触れたが、「自分が望んだことをしているのに、この表情はないやろ」と思ったことだ。どんなに暑くても、どんなに坂がしんどくても、自分が望んだことなのだから笑顔で走ろうと決めて実行したことである。
また、このお陰で、精神力の重要性を改めて認識できた。すなわち、「根性」である。「根性」という言葉を出すと毛嫌いする人が多いが、やっぱり重要だと思う。昔聞いたサッカー選手(ドイツのスーパースター)の言葉であるが、「一番大事なことは絶対勝つという精神力だ。そして、もう一つ大事なことは楽しむことだ。これを忘れてはいけない。楽しむ心がなければ、ただの苦痛になってしまう。」ということを聞いたことがある。当時の私は、これが理解できず、「そんなこと無理やで〜」と思っていた。しかし、今回の遍路旅で、やっと理解できた。「根性=苦痛」が、自分の考え方次第で「根性=楽しさ」に変わる。これに気がついてからは、炎天下の中をニヤニヤした顔で走っていたはずだ。周りの人から見れば変人に思われたかも知れない。しかし、これでいいのだ。これこそが遍路旅なのだ。

三つ目の「当たり前のことに対するありがたさ」については、遍路旅ができること、自転車で走行すること、親・親戚・知人・友人と過ごすこと、美味しく食事をすること、風呂に入って布団で寝られること、困った時に助けてもらえること、など数え上げればキリがない。今という大切な時間を過ごしていることを意識して、当たり前のことに感謝し、一所懸命生きることが重要であることを体感した。全てが愛おしく思えてくるのである。

本日時点では、こんなところだろうか。
また、新たに気づきがあれば投稿しよう。

自転車にはだいぶ負担がかかったので、オーバーホールして部品交換や調整を行う。高野山へのお礼参りは、これが完了してから出かけるつもりである。少し時間がかかるので、出かけるまでにもう少し気づきが増えるかも知れない。

本日、お遍路交流サロンから自転車遍路大使の任命書とバッジが届いていた。クイックレスポンスだ。DVDと丁寧なコメントまで入っていた。ありがたいことである。

自転車遍路大使任命書



応援してくださった皆様へ

皆様のお陰で、無事結願できました。
本当にありがとうございました。

高野山奥の院へのお礼参りは、「番外編」という形で後日報告いたします。



2021年8月27日金曜日

家路(8月27日)

5時半起床

外は快晴。今日も暑い日が待っている。

そそくさと荷物をまとめる。


7時 宿を出発

まだ日陰は涼しい。通勤の車がそろそろ動き始めており混み始めている。日向に出ると直射日光が厳しくなってきている。吉野川の河口を渡りフェリー乗り場を目指す。


750分 南海フェリー徳島港に到着

切符を買おうとしたら次の便は11時だと言われた。「8時半では?」と言うと、「それは和歌山発です。」と言われた。やってしまった。昨日見たのは反対の時刻表だったのだ。徳島発は8時の便で、今回の減便対象だった。これなら、もっとゆっくり寝てから宿を出てもよかった。しかし、「暑くなってから走るよりはこのほうがよかったかも」と思い直して、11時の便の切符を購入しターミナルで待つことにした。空調が効いていて極楽である。客は誰もおらずターミナルは私1人。この便で行くと和歌山港到着は13時を過ぎる。高野山までは約50キロあり、しかも坂道である。坂道になると思いきりペースダウンする私にとって、本日のお参りは厳しいかもしれない。またフロントバックがだいぶ痛んでいるのも気になる。本日行くか、別日にするか悩ましい。

栃木からの年配の車遍路3人組が来たので話をした。これから高野山へ行くそうである。宿坊は高額なので泊まらないとのこと。私が何日くらいで周って、どういうところに泊まったかを聞かれた。「直前まで到達地点が不明だったため、ほとんど行き当たりばったりでした。」と答えた。3人組は、何箇所か宿坊にも泊まり、非常に良かったそうである。空調の中に1時間程度いたが、体が冷えてきたので外に出た。日陰は非常に涼しく快適である。やっぱり季節は確実に変わっている。


後半の振り返り

・親と過ごせることのありがたさを感じた。

・自分の力でどうしようもならないものは受け入れること。

・根性は重要。最後は精神力がものを言う。

・人のありがたみに助けられた。

・実践こそが人の心を動かす。

・前を向いていけば必ず到達する。

・全てを受け入れる姿勢ができれば、少々のことでは何とも思わなくなる。

・与えることの喜びを感じた。

・素朴なものが好き。特に自然と一体になっているもの。

73番札所奥の院は、お大師様の導きを感じた。

・本質を理解し、それを実践することが重要。体感して腑に落ちるようにする。

・人間の思考スピードには歩くスピードが最適

・今があることが嬉しい。旅ができること自体が幸せ。


11時 徳島港を出港

出港前にたくさんの荷物を乗せた自転車が来た。見たところ20代。これから約3か月かけて日本一周するとのこと。素晴らしい。「頑張ってください」と伝えて乗船した。


客室には行かず、またデッキで風に吹かれる方を選択。陸を離れるにつれて、「やり切ったんだなぁ」という気持ちが湧いてきた。そして、涙が出てきた。なんの涙なのかは、さっぱりわからない。旅が終わる寂しさでもない。不思議な感覚である。昨日は、達成感と安堵感だったが、今日はまた違う。穏やかな気持ちになっている。


海の上で今回の旅を振り返った。

お遍路を始めたのは、どんな世界が見えるのか見てみたいと思ったからだ。見えたのは自分の内面だったのではないかと思う。酷暑、雨、重い荷物に加えて、自力で進むしか手段がない状況に身を置いたことで、自分は一体どのように考え、どのように行動しようとしているのかがよく分かった。最初は、暑い、辛いなどの言葉とそれ相応の表情だったと思う。しかし、外国人サイクリストと出会ってからは、辛い顔をするのはやめて、言葉も変えた。「自分が望んだことをしているのに、この表情はないやろ」と思ったからだ。明らかに自分の内面を見て、自分で行動を変えた。そして、すべてを受け入れ、今を感謝することができれば幸せな人生を送れると分かった。そうすれば、見えない力が背中を押してくれている。お参りの際に納める納め札には「初志貫徹」と記載した。初志は、遍路旅を何がなんでもやり切ることであり、これを貫くことはできたと思う。しかし、これは自分一人の力で貫いたわけではない。いろいろな人に助けられ、見えない力に背中を押されてできたことである。まさに「お陰様」の力である。私は、段位を取得する時のレポートに、「日本人は「お陰様」の精神を持っている。」と書いた。遍路旅が、この思いと繋がった。日本人の原点を掘り起こすのが遍路旅なのである。そして、先ほどの涙は、すべてに感謝する気持ちからきた嬉し涙だったのだ。

これまで、嫌なこともあったし、辛いこともたくさんあった。しかし、今は「私はいい人生を送っている。」と言える。

心が少しスッキリした。今日は一旦家に帰ろう。時間的なこともあるが、高野山へのお礼参りは、もう少し心の中を整理してから行くことに決めた。早朝に出発すれば、日帰りも可能かもしれない。


135分 和歌山港到着

一回来た道のはずなのに、迷ってぐるぐる回ってしまった。コンビニによってドリンク補給と軽い食事をして再度出発。

今日は炎天下である。刺すような日差しである。しかし全く苦痛は感じない。こんな天気の下を走れること自体が嬉しい。明らかにお遍路効果だ。


1710分 大和川に到着

帰ってきたなぁと言う感じ。日が傾きかけているが、のんびり走ろう。


1745分 帰宅

家に着いてほっとした。


今日の走行距離は91キロ


今日の写真


今日はゆっくり休もうと思う。

明日ゆっくり振り返りをしたい。

2021年8月26日木曜日

21日目(8月26日) 結願!

5時起床 

まだ外は暗い。しかし天気は良さそうである。天気予報では熱中注意報が出ている。


6時半 宿を出発

天気は良いが湿度が高い。早朝なので道が空いている。


650分  八栗ケーブル駅到着

先日再度確認したがやはりここは歩くしか方法がなさそうである。20%を超える斜度の坂ではどうしようもない。歩いていると近所の婆さんに、交通手段を聞かれたので自転車と答えた。婆さんに「歩いて行き、絶対無理やで。」と言われ納得。歩き始めるとそれが現実になった。この坂は絶対無理、自転車選手ぐらいの強者なら行けるかもしれないが。


710分 85番札所八栗寺到着

うしろに岩がそびえ立っている。圧倒されてしまった。まさしく霊場である。まだケーブルカーも動いてないので参拝者は私だけ。ゆっくりと参拝した。ここは涼しい。極楽だ。

同じ道を降りていると、先程の婆さんに「しんどかったやろう」と声をかけられた。先日は東京から歩き遍路が来て野宿していたと言う。「私はそんな根性ありませんわ」と言うと「あんたも充分根性あるで」とお褒めの言葉をいただいた。


840分 86番札所志度寺到着

恒例の水浴びをしてからお参り開始。まだ9時前であるがこの暑さでは水浴びしないとどうしようもない。

住宅のど真ん中にあるお寺であるが境内に入ってびっくり、まるで山の中に来たような感じである。これはすごい。癒し系の寺だ。森の中に寺があるような感じのところである。おかげで蚊に噛まれまくった。木の間から五重塔がそびえている。街中のお寺なのでこじんまりしたお寺を想像していたが、良い意味で予想を裏切ってくれた。


105分 87番札所長尾寺到着

ここも住宅のど真ん中にある寺である。境内はゆったりしている。壁がないので特にそう思える。開放感抜群だ。年配の車遍路がお経を唱えている。流暢なお経に聞き入ってしまった。今日は想定した以上の速さでお参りが進んでいる。これまでは必ず想定した時間より遅くなってるのが常だった。結願に向けて導いてもらっているのかもしれない。これから結願に向けて坂道を移動する。昨日と今朝の歩き遍路で膝にだいぶガタが来ているが何とかなるやろ。


1110分 前山お遍路交流サロン到着

緩やかな上りを進んでいくと、すぐ到着した。ここではお遍路大使任命書をもらえる。対象は歩き遍路と自転車遍路だけである。しかし、武漢ウィルスの影響で閉館中だった。どこもかしこも閉館だらけである。結局必要事項を記入してポスト投函した。後日郵送してもらえるはずである。


ここから傾斜が急になってくる。道路の掲示板の気温を見ると30度あるが、それほど暑くは感じない。坂は確かにしんどいが、結願に向けたワクワク感に比べると微々たるもんである。


1230分 88番札所大窪寺到着

ついに到着した。大きなお寺である。結願所と言う石碑が立っている。ここは表門では無いらしいので再度表の山門から入り直した。ここも風が極楽だ。癒し系の寺である。ゆっくりとお参りをして納経所で記帳してもらった。


結願だ〜!!!

60のジジイがついにやり切った。


ついでに2000円払って結願の証明書まで発行してもらった。満足感でいっぱいである。

寺の横にある店に行き、結願を祝って天ざるうどんを注文し、少しだけ豪華な昼食をとった。

後は本日中に一番札所のお礼参りができれば完璧だ。やり切った感はあるが、いまひとつ安堵感がないのは、お礼参りが終わってないからだろう。約40キロほどあるが、下りなので頑張ればいけそうな気がする。

休憩もそこそこに移動を開始。ひたすら下っていくので非常に楽である。気がつけば徳島県に入っていた。後はひたすら東へ進むだけである。10番札所への表示が見えた。ここから先は1ヶ月前に走った経路である。1ヵ月しか経ってないが懐かしい気がしている。あの時は炎天下の真っ只中だった。今日も暑いのは確かであるが、1ヶ月前と決定的に違うのは風である。今は秋の風になっている。オートバイに乗っていた時も同じことを感じたが、また風に非常に敏感になってきた。季節の変わり目が非常によくわかるのである。長年車ばかり乗っていたのでこんな感覚を忘れていた。それにしても一番札所になかなかつかない。札所と札所の間が近かったので、それほどの距離があるとは感じてなかったが、一気に行くとなると結構な距離である。1ヵ月前のことを思い出しながら走っていると何とか到着した。


16時 1番札所霊山寺到着

本堂と大師堂をお参りして、納経所へ向かった。お礼参りできたことを告げると、最初の時とは別の朱印で記帳をしてくれてた。四国でやるべき事は全てやった。そう思うとやっと安堵感が出てきた。私はやり切ったのだ。

ゆっくりと余韻に浸りながら今夜の宿を探した。今から長距離走行したくないので、できるだけ近いところで選んだが、ツインルームのシングルユースの部屋が取れた。


1745分 宿に到着

ツインルームなので広々として非常にゆったり感がある。これはありがたい。横に豚太郎があったのでがっつり行こうと思ったが、今日は定休日だった。あまり選択肢もないので本日も夕食はカレーとなった。当然大盛り。


今日の走行距離は100キロ


今日の写真


本日、無事に結願することができた。こんな私を一番応援してくれたのは、道場の宗家と師範である。本当に感謝しかない。他の人も様々なメッセージを入れてくれた。そのメッセージに勇気づけられてここまで来ることができたと思っている。また、この旅は、いろんな人に助けられた。旅で得た一番の想いは「感謝」なのかなと思っている。途中からは、旅ができること自体に喜びを感じられたし、暑さや坂道などはどうでもよくなってきた。昨日も思ったが、やっぱり嬉しさ半分寂しさ半分である。以前食事をした店の女将さんに「結願したらまた行きたくなるみたいですよ」と言われたが、これは当たっている。今の率直な気持ちは「もう一回行ってみたい。」である。今回は日程的にゆとりがなく、天気の影響などもあり、八十八ケ所を回るだけで終わってしまった。もっとたくさんのところに行くことができなかったのが残念である。今度は時間を気にせず今回行けなかったところに行ってみたい。

明日は和歌山にわたり高野山へ行くことを考えている。しかし、武漢ウィルスの影響で泊まるところもだいぶ規制されているようであり、フェリー自体もかなり減便されている。高野山行きを明日にするか別日にするかは明日決めよう。

2021年8月25日水曜日

20日目(8月25日)

 5時半起床

外は晴れている。朝から晴れているのは久しぶりである。今日の予想気温は32度。やっぱり夏はこれでないといけない。


715分出発

昨日の道を再び戻りながら五色台へ向かう。五色台は緩やかな上りとなっている。ゲキサカかと思ったがそうではなかった。こんな坂道なら大歓迎である。60番札所・66番札所を考えると極楽だ。見下ろすと瀬戸大橋が見える。先日とはまた違う角度からの風景である。暑さがぶり返してきたので、こまめに水分補給をしながら進む。


840  81番札所白峰寺到着

恒例の水浴び復活。

森の中に立っている寺である。斜面にへばりつくように建立されているが境内は広い。ここはいい。気に入った。癒しを求めるならこういう寺が一番である。山の上にある寺は癒し系の寺か、霊場感が漂う寺かのどちらかであるが、ここは癒し系のように思った。時間が許せばずっといていたい。

出発しようとしたらサイクリストがやってきた。地元のサイクリストかと思ったら、埼玉からやってきた大学院生だった。来年就職なので今のうちに周っておこうと思っているとのこと。新幹線で岡山まで来て、坂出に渡り今日が初日。2週間で周ることを想定しているそうだ。ビンディングシューズからサンダルに履き替えている。ここはいいけど他のところでサンダルは厳しい。寺に寄ると結構時間がかかるので2週間は厳しいかもと伝えた。あと心配なのは、ロードバイクの細いタイヤだったので山道でのパンクが怖いこと、歩くことが多いので運動靴を準備しといた方が良いことを伝えた。

兄ちゃんと別れて次に移動。

移動中にさっきの兄ちゃんに軽々抜かれてしまった。納経帳とか持ってなかったので合掌だけして出て来た模様。多分、2週間で周りきることを目標にしているんだろう。


1015分 82番札所根香寺到着

恒例の水浴び。夏の暑さ復活。

山門前で先程の兄ちゃんと再会。

「あなたの足なら2週間で行けるかもね」と言ったら、「この階段で考え方変えました」と言っていた。あまり歩くことを想定していなかったみたいである。このぐらいの階段であれば全然マシで先日は500段の階段を上ったことを言うと、今晩プランをどうするか考えると言って笑っていた。丁重にお礼を言われたので恐縮してしまった。

兄ちゃんと別れてそのままお参りに進む。この寺も癒し系だ。山肌に沿って建立しているが境内は広い。ここも時間があればいつまでもいていたい。五色台は高いところにあってちょっと辛かったが、お寺は両方とも当たりだった。木陰の風が極楽である。


1230分 83番札所一宮寺到着

恒例の水浴びをしてお参りを開始。

街中にある小さな寺。今日は私好みの寺が多い。非常に静かである。すぐ近くに高校があるが騒がしさは全くない。よく考えたら今は夏休みだった。ここも風が極楽だ。


84番札所への移動途中に、またまたうどん屋に入ってしまった。明日はうどんが食べられないかもしれないので、今日も食べておこうと思っている。今日も定番のぶっかけうどん。今日は2玉にした、というか3玉はなかった。物足らないのでかき揚げも頼んだ。これで400円は安い。いろいろと食べ比べてみたが一番最初に行った店の味が私には合っていた。


15時 琴電屋島駅到着

参考にしているブログでは、ここに自転車を停めて歩いていくのが良いと記載してあった。とんでもない斜度の坂がが待っているらしい。本当にそうなのか確認するため駅にきたのだが無人駅だった。1人乗客がいたので聞いてみたが地元の人ではなかった。ブログを信じて、自転車を駅に置いて歩くことにする。往復10キロになるが、たまには歩き遍路の気持ちを体感してみよう。


歩いていくと良い景色が何度も見えた。自転車とはスピードが違うのでゆっくりと景色を楽しめる。そして、いろいろと考えながら進むには歩き遍路が最適なのだと思える。人間の思考スピードには歩くスピードが最適なのだと思ってしまった。そして、暑さも一段と感じる。ついに夏が戻ってきた感じがする。やっぱり夏はこうでないといけない。暑さを感じること自体が嬉しい。Googleマップを頼りに歩いて行ったが、そのような斜度の坂は出てこない。よくよく見るとここは自動車専用道路だった場所ではないのか。ブログの人が走った当時は専用道路だったらしいが、今は歩行者にも開放されている。と言う事は自転車もOKだ。今更戻るわけにもいかないのでそのまま進んだ。しかし上に行くにつれて、どう見ても斜度が10度を超えている坂が出てきた。自転車で来ても、多分押して歩いているのは確実である。やっぱり歩いて正解だったと思いながらひたすら登る。歩きながら、歩き遍路はやっぱり凄いと思った。私は貴重品しか持っていないのでそれほど重量はないが、彼らは重いザックを背負って終日歩いている。そんなことを考えながら約50分ぐらいで到着。


165分 84番札所屋島寺到着

非常に広々としているお寺だ。山門と境内の中は新しく立て直した感じである。本堂と大師堂は昔のままのようだ。高校生らしき集団が騒ぎながらお参りをしていたが、私を見て静かになった。オーラが出ているわけでは無いのだが、白衣を着てお経を読んでいるのが気になったようである。

お参りが終わった後、せっかく上がってきたので周りを散策した。昔の城門跡にいくと絶景が待っていた。良い景色を見ようと思ったらしんどい思いをしないとダメなのかも。

来た道を戻りながら膝に来ていることを感じた。10キロ近くも歩くのは久しぶりだからだ。やっぱり私には歩き遍路は無理かもしれない。駅に戻って再び自転車に乗るとなんと楽なことか。膝の悪い私には、やっぱり自転車があっている。


18時 宿に到着 

今日の宿は街中にあるのだが、高松が蔓延防止対象都市になっており、食事処で空いている店が少ない。かろうじてカレー屋を見つけたので、チキンカツカレー大盛りを頼んだ。結構辛い。これは喉が乾きそうだ。宿の前に大型スーパーがあるのでドリンクを買い込んで戻ることにする。

明日のルートも、ブログを参考にすると歩きのはずなのだが、もう一度確認が必要である。行けるところは自転車で行きたい。


今日の走行距離は74キロ


今日の写真


今日は暑かった。そして、空が非常に青かった。夏が戻ってきた感じがして嬉しい。暑い空の下を走ることができる。このことに嬉しさを感じるようになったのはこの旅のおかげである。

この旅の終わりが見えてきた。結願が近づいてきた事は非常に嬉しい。その反面、いろいろと気づきがあり、もっとたくさん経験したい気もしている。嬉しさ半分寂しさ半分といったところだろうか。どんな気持ちになるのか、旅が終わった時に感じてみたいと思う。

2021年8月24日火曜日

19日目(8月24日)

 5時起床 

今日も終日曇り。今のところ雨の心配はなさそうである。


640分出発

気温も低く少し風が出ているので涼しい。この気候であれば大歓迎だが、今日は30度越えの予想。

善通寺は小高い山に囲まれていることが初めてわかった。空海はこの土地で育ち何を思ったのか?


655分 73番札所出釈迦寺に到着

一瞬ゲキサカだったが朝一なので問題なくのぼれた。私より先に車遍路が来ている。この寺は山の中腹ぐらいにあり、こじんまりした地元密着のお寺だ。多分参拝するのは地元の人とお遍路さんくらいで観光客などは来ないだろう。今回遍路旅をしながら私の趣味嗜好がはっきりわかった。私は過度な装飾などが嫌いで素朴なものが好きだと言うことである。特に自然と一体になっているものには感動を覚える。時間があれば大阪南部や奈良方面に自転車でかけるのは、心がそういう場所を欲しているからだろう。


せっかくなので奥の院もお参りすることにした。駐車場に自転車を置いてゲキサカをひたすら上る。車がかろうじて登れるくらいの傾斜だ。自転車では絶対無理。


815分 奥の院到着

風が気持ちが良い。極楽だ。

お参りしてしばらく風に吹かれた。空海が捨て身の修行をしたと言う場所で、子供があっさり上がれるようなところではない。空海は子供の時から驚異的な能力を持っていたのかも。そのような険しい場所まで上がってきているので、絶景で瀬戸大橋まで見える。御堂の先に行ってみたが私の靴ではこれ以上行けそうもなかったので諦めた。完全に登山道である。登山者が数名上がってきたが、皆さん私より年配の人ばかりである。

昨日は73番札所までお参りすることができなかった。もし来ていたら夕方近くになっていたので奥の院には行ってなかったと思う。お大師様が導いてくれたのかもしれない。

登るのは40分かかったが、下りは15分で降りてきた。


95分 74番札所甲山寺到着

近い、10分で着いた。

田んぼの真ん中にある寺で隣に工場があってびっくりした。境内はゆったりしているが建物自体は山の脇に建立されている。ここも観光地ではなく地元密着のお寺だ。喉を潤して少しのんびりした。


955分 75番札所善通寺到着

ここも近い、3分で着いた。

駐車場に着いたのだが、ここは裏門らしく、「どうせなら表門に回ったら」と係りの人に言われてぐるっと回って反対側に行った。

ここは広さも建屋も規模が全然違う。さすが総本山。別格である。本堂と大師堂は敷地自体が分かれている。それにしても大師堂は非常に立派であった。残念ながら中での撮影はダメだったので外からだけの撮影にした。人が少なく、ゆっくりと散策しながらお参りした。


1110分 76番札所金倉寺到着

ここも近い、15分で着いた。

境内は広々としている。団体バス用の駐車場も相当広い。しかし地元の人ともう1人お遍路以外は誰もいない。騒がしくないところが非常に良い。ゆっくりとお参りした。今日は気分がゆったりしている。ほとんどが平地で距離が近いことがゆとりを出しているのかもしれない。今のところずっと曇りが続いており暑く無いことも効いている。


1215分 77番札所道隆寺到着

ここも近い。

街中にある小さなお寺。私好みだ。1人車遍路がいたがお経もあげずにとっとと帰っていった。スタンプラリーしているような感じである。私の偏見かもしれないが、楽をして回って納経帳の記録ばかりを集めて何か得られるものがあるのだろうか。足が悪かったり、年齢的に歩きは無理だったり、こんな人は車しか方法がない。しかし、お経も唱えずに帰るのはどうだろうか。今回各札所で、このような人が結構多いと感じた。頭だけで理解していても、実際に腑に落ちるところまで行動しなければ得られるものはないような気がしている。ブルース・リーが言った「考えるな、感じろ」は、今ではとてもよくわかる。人間は体感しなければ何も得られるものがないのだ。すべての人に、歩いたり自転車での自力遍路をしろと言うつもりはない。しかし、その人ができる範囲で真剣に向き合い、行動してこそ初めて何かを体感できるのではないかと思っている。


1320分  宇多津臨海公園到着

四国一周スタンプゲット


途中でうどん店を見つけてまたまたぶっかけうどん大を頼んでしまった。今日は梅シソ風味にした。初めて知ったが、うどん大とは三玉のことだった。どうりで多いはず。大阪の感覚で行けば大は二玉くらいと思っていた。


1410分 78番札所郷照寺到着

若干高台にある広いお寺である。山門の中に駐車場があるとは知らなかったので少しウロウロしてしまった。寺は新しく建て直されているようである。地下に数千の小さな仏像がある部屋があった。これには圧倒された。写真を撮るのが憚られてしまった。駐車場で、法要のために来た年配の夫婦に「良いお参りを」と声をかけてもらった。

今日は今のところ強い日差しはなかったのでこのまま曇り空でいきそうである。夕立さえなければ、それでありがたい。近い所のお寺ばっかりなので本当に気分がゆったりである。


1520分 天皇寺高照院に到着

寺と神社が隣接されている。寺に行くには、神社の参道を横切らないといけない。寺は、ほんとに小さくてのんびりできそう。ここなら、来てぼーっとしていられる。こんな場所が近くにあれば嬉しい。せっかくなので神社のほうもお参りをした。


1620分 80番札所国分寺到着

昨日よりは少しだけ早く着いた。しかしもう時間が遅いので火を使うのは遠慮してくれと言われ、納経のみとなった。この寺は広々としており非常に立派な庭がある。この景色を見にたくさんの人が訪れるのかと思った。大師堂は納経所と同じ建屋の中にあり写真撮影はNG。ここも当然火はダメなので納経だけさせてもらった。


1750分 本日の宿に到着

今日も大浴場がついている。これはありがたい。しかし食べるところは選択肢がなかった。宿の横にある海鮮茶屋のみである。10%割引券をもらったので、それを使うことにした。今日もエンゲル係数が高いが、おいしいご飯が食べれることに感謝し、ありがたくいただいた。


今日の走行距離は64キロ


今日の写真


今日は奥の院を含めると9カ所のお参りをした。73番札所・奥の院以外はほとんど平地であり距離が近かったので何とか周れたと思う。明日は高いところを走らなければならない。また歩き遍路復活か。

香川に入ってからは小高い山を縫うように札所を回っている。師範がこの山の景色が思い出にあると言っていた通りで、確かに印象深い。

明日は山岳コースが持っている。頑張ろう!



2021年8月23日月曜日

18日目(8月23日)

 5時半起床

今日も天気は曇り。雨の心配は今のところない。宿の朝食を頼んでいるのでそれを食べてから出発。豪華朝食だった。この値段でこの施設とこの料理は非常に値打ちがある。泊まって正解だった。


745分出発

田んぼの中を迷いながら走る。さすが香川だ。ため池が多い。


815分 67番札所大興寺到着

ここは田んぼの真ん中にある。霊場感がプンプンしている寺である。地元の人が参拝に来ている。参拝を終えて休憩していると、年配の人が話しかけてくれた。私の格好を見て自転車と分かったようで「若いなぁ、元気やなぁ」と言われた。「もう60ですよ」と言うと、「自転車でお四国ができるのは元気な証拠や」と笑っていた。他愛のない会話だが元気をもらえた。


10時 道の駅豊浜到着

四国一周スタンプをゲットしようと思ったら休みだった。15キロ戻ったのにショック。ここは年中無休となっていたのにやられた。ネット情報はあてにならない。


トイレ休憩して68番札所へ向かう。この程度の事など昨日に比べれば天国である。今回の悟りはなんだろうと昨日考えていたが、もしかすると許容範囲が大きくなったことが大きな悟りかもしれない。少々のことでは何とも思わなくなった。全てを受け入れる姿勢ができてきたのかもしれない。

国道11号をひたすら東に向かう。途中に元総理大臣・大平正芳の銅像や記念館があった。総理大臣をしていたのは私が小学生か中学生位だったはずだ。いまだに記念館があるという事は地元に多大な貢献をしたのかもしれない。


1050分 68番札所神恵院・69番札所観音寺到着

ここは1つの敷地内に2つの札所がある。境内はゆったりとしており風格がある。暑いはずだが不思議と暑さは感じられない。不思議なものである。神恵院の本堂が鉄筋コンクリートになってるのにはちょっとびっくりした。カフェまであるが今日は残念ながらやっていなかった。納経所に若いカップルが入ってきて、女性の方が私に歩き遍路について聞いてきた。この時期は少ないが毎日何人かには会っていることを伝えた。男性の方がお遍路をするためにお遍路グッズを買いに来たらしい。「たくさんの気づきを得られます。絶対プラスになります。」と言うと、男性の目の色が変わった。やる気にますます火がついたかもしれない。ぜひ実践してほしいと思った。

この寺は気持ちが良いので、しばらくのんびりして出発した。


1220分 道の駅ことひき到着

四国一周スタンプゲット

香川県の一発目

ここにも大平正芳の会館がある。総理大臣パワーは凄い。

すぐ横に手打ちうどんの店を見つけたのでぶっかけうどんの大を注文。さすが本場、ボリュームがすごい。大阪では大を頼んでも、こんな量は絶対出ない。


1315分 70番札所本山寺到着

田んぼと家があるど真ん中に建立されている非常に大きなお寺である。境内には五重塔がある。これはすばらしい。参拝者は静かに参拝しているのに大声で話しながら歩いて行く迷惑な遍路もいたのが残念。ついに夏が晴れ間が戻ってきた。暑くなってきたが雨降りよりは断然このほうがいい。


1445分 道の駅ふれあいパークみの到着

最後にゲキサカが待っていた。着いた途端にたまらず一気に3本も飲んでしまった。夏の暑さが戻ってきた。

そして、四国一周スタンプゲット。

しばらく休憩して次の札所に進むことにする。その間にソフトクリームに目が行き思わず買ってしまった。まだまだ煩悩の塊だ。涅槃の道場でどこまで鍛えられるのか?


1515分 71番札所弥谷寺到着

ゲキサカがお待ちしており、またまた歩き遍路が復活した。やっとのことで到着すると今度は果てしない階段が待っていた。まずは煩悩を消すために108段の階段がある。しかし、それだけで終わりではなく延々と階段が続く。500段ほど上ったところに本堂があった。ここは岩肌にへばりつくように建立されている。岩屋寺を彷仏とさせる。霊場感がプンプンしている。本堂から下を見たら絶景だった。太子堂は外からのお参りではなく靴を脱いで中に入ってのお参りだった。


できればもう一つお参りしたいので慌てて移動する。距離は近いが平地かどうかが問題だ。しかし、下った後はまだ上りだった。


16時半 72番札所曼荼羅寺到着

ギリギリ間に合った。

田んぼのど真ん中にある小さな寺。地元のお寺と言う感じの私好みの寺である。

お参りをすまして納経完了。

もっとゆっくりしたかったが時間も時間なので退散した。ここはゆっくりできそうな感じだったので残念である。

今日のお参りはこれで終了。


本日の宿がある善通寺に向かい、田んぼの中をのんびり走る。


1745分 宿に到着

近所の居酒屋のビール券をもらったので、そこに行ったが正解だった。料理が非常にうまい、そして量が多い。居酒屋と言うより料理屋と言った方が良いレベルで、大当たりだった。締めに頼んだお茶漬けの出汁はほんとにうまかった。


今日の走行距離は76キロ


今日の写真


今日は、ほとんど平地だった。一部ゲキサカがあったが、先日に比べたらおまけみたいなものである。前輪からも泡が出ているところが見つかった。ついに前輪もパンクだが、何とかなるだろうと思っている。ずぶとくなってきたかもしれない。明日もこの近辺を走ることになる。お大師様の出身地なのでゆっくり堪能してみたい。

2021年8月22日日曜日

17日目(8月22日)

 5時30分起床

天気予報をチェックし今日も終日曇りであることを確認。うっすらと日差しも出ている。

タイヤの空気圧を確認したが後輪はかなり減っている。昨日店長に言われた空気圧に戻すと泡が出る。しばらくはこれと付き合いながら行くしかない。

宿の朝食を軽く食べて出発


715分 宿を出発


国道11号をひたすら東に進む。ついに日差しが出てきた。この暑さを感じるのは久しぶりである。ゆったりとした上り坂が結構きついがピークを過ぎると下り坂。ほぼほぼ想定した時間通り走れている。


845  伊予三島駅周辺でコンビニを見つけて休憩。エネルギーを補給し出発する。


延々と上り坂が続く。残り3キロ地点でたまらず水を浴びて休憩。またまた歩き遍路が復活した。乗って歩いての繰り返しが始まる。視界が開けたところでまた水浴び休憩。


1020分 65番札所三角寺到着

いきなりの90段の石段を登り山門へ。中は広々としており非常に風格を感じる寺だ。気にいった。時間が許す限りゆっくりしたいと思った。しかし今日も虻の攻撃を受けた。昨日から虻に気に入られているみたいで、足を相当刺されて腫れている。もうこれは辛いので早々に退散することにした。日陰の風は天国なので非常に残念だ。


愛媛県の寺はこれで全てお参りが完了した。菩提の道場が完了したことになる。私はどんな悟りを得たのだろうか?

人のありがたみを感じたことが非常に大きいが、強いて言えば「実践こそが人の心を動かす。」と感じたことだろうか。安全なところにいて能書きばかりを言っていても人の心は動かない。自らが動いて何かをすることに価値がある。親・親戚・友人・知人、そして、私にお接待をしてくれた通りすがりの人たち。皆さんに共通しているのは、私の姿を見て何かしたいと思ってくれたことである。今日はこれしか思いつかない。もう少し考えよう。

次は涅槃の道場に突入する。私は煩悩が消え去った人間になれるだろうか?

まずは、いきなり八十八ケ所の最高峰66番札所が待っている。


山を降りてで四国中央市で国道192 に合流。ここから緩やかな上り坂が延々と続く。これがきつい。時間はかかるが進まない。ドリンク補充したいが店がことごとく閉まっており、自動販売機も使えない。境目峠を越えるとやっと下りになった。涅槃の道場は香川県なのであるが、66番札所はなぜか徳島県である。廃藩置県の弊害かもしれない。途中やっと見つけた自販機でドリンク補給。国道268を見つけて登りに入る。あと11キロの予定。しかしついに残り7キロの時点で歩き遍路が復活した。またかと言う感じ。乗ったり降りたりを繰り返しながらひたすら登る。歩きながら思ったのは、「スピードが遅くても前を向いていけば必ず到達する。」という事である。当たり前と言えば当たり前だが、人生は前を向いて進まないといけないと言うことだ。過去を振り返ることは大事であるが、済んだことばかりを考えても仕方がないのだ。前職時代に、過去ばかりを見て前を見てない人が多数いたなぁ。そんなことを考えながらひたすら前だけを見て進んだ。ゆっくり休憩をとりたいが、ここも虻攻撃がひどく、ゆっくり座っていられない。ドリンク補給が終わったら刺される前にすぐ動かなければならない。昨日も刺されたところが痒くて夜中に目が覚めた。今日も同じことなのか。あと2キロの看板が見えたので安心したが、これが甘かった。なかなかたどりつかない。


1535分 66番札所雲辺寺到着

山の上にあるのに立派なお寺である。

本日は日曜のため参拝者が少々いるが、それほど多くはない。お参りが終わった後激しい雨が降ってきた。せっかく苦労して登ってきたので、ゆっくりしたかったが諦めて移動することに。

寺の人に、次の札所に行くための道の状況を聞くと、危険なのでやめた方が良いとの事だった。自転車遍路した人のブログを読んだが、その時も同じ状況だった。しかし、その人が遍路をしたのは今から8年前のことだったので、改善されていると思っていた。残念ながら状況は変わってないみたいだ。いまだに、その道は地元の人も走ってないらしい。地図まで見せられ絶対無理と言われた。見事に✖️マークが付いている。今回は自転車での移動を諦め、素直にアドバイスに従ってロープウェーを使って降りることにした。この時間から40〜50キロかけて迂回するのは現実的ではない。上りは自力で登ったので、下りはよしとしよう。

ロープウェー乗り場から下を見たら絶景である。天気が良ければもっときれいなはずなんだが残念。苦労して登った寺だがロープウェーだったら7分で着いた。


雨は当分やみそうもないのでこのまま本日の宿がある観音寺市へ向かう。


1745分 本日の宿に到着

今日はかんぽの宿が取れた。なんといっても温泉付き。しかも部屋は二間あり非常に広い。早速入ったが極楽だ! 寝る前にもう一回入ろうと思う。



今日の走行距離は84キロ。走った距離以上に疲れた。


今日の写真


今日は最大の難関を超えた。残りの山岳コースは88番のみである。ひとまず安心している。4分の3が終わったことになるが、少しずつ振り返っていきたいと思っている。私が見たいと思っていたものが本当に見えているのか。それがわかれば夜もすっきり寝られそうである。

明日からは近い距離にたくさんのお寺が集中している。天気が良いことを期待したい。

2021年8月21日土曜日

16日目(8月21日)

 6時起床

天気予報をチェックし、本日は終日曇りであることを確認。外を見たが道は乾いている。ひどい雨の場合、今日は自転車は諦めなければならないと思っていたが、いけそうである。お大師様が雨をあげてくれたのか?


735分出発

土曜なので思ったより車が少ないのが助かった。そうでなくてもこの国道は交通量が多い。


8時 登山道入り口に到着

早速緩やかな上り坂がついてくる。猿が数匹道を横切ったので写真を撮ろうとしたが私の気配に気づいて逃げられた。


830分 バス乗り場到着

これから本格的なきつい坂が始まる。いったん小休止して周りの景色を堪能。黒瀬湖を見下ろすところで非常に景色が良い。


1台がやっと通れる位の狭い登り道。途中から下りになった。ということは帰りは登らないといけない。料金所を超えると噂通りのゲキサカが待っていた。しばらく頑張ったが、たまらず歩き遍路復活。虻が足にまとわりついてチクチクして痛い。現在地を確かめようとしたが携帯は圏外だった。晴れていれば良い景色かもしれないが霧が出て何も見えない。乗ったり降りたりを繰り返しながらひたすら登る。湿度は高いが涼しいことと、12番札所の洗礼を受けているので、それほどきついとは思わない。またかと言う感じである。慣れてしまったのかもしれない。慣れる事は大事だ。きつい思いを繰り返していると少々のことでは何とも思わなくなるのだ。前職時代、少々のことでくじける人が多かった。我々の時代で言うと根性がないと言うことになる。根性論など時代遅れかもしれないが、やっぱり根性は大事だ。体も心も負荷をかけた分だけ強くなることを痛感した。


1025分横峰寺駐車場に到着。

車は1台もなく売店は開いてない。ここに自転車を置いて徒歩になる。

霧が一段と濃くなってきた。幻想的な風景と言う感じである。


1050分 60番札所横峰寺到着

岩肌にへばりつくように建立されている。こじんまりした寺である。霧が出ているので霊場の感じが一段と強い。The霊場である。参拝者は私以外に中年の夫婦のみである。静かだ。いつまでも居ていたい気がする。

駐車場に戻ると霧が晴れた。下を見ると雲海が見える。絶景だ。これはすばらしい。


路面が濡れているのでスリップを気にしながらひたすら降りていく。ブレーキを握りっぱなしで握力がなくなりそうである。

山を下りきったときに師範からメッセージが届き、横峰寺が完了したことを報告。


1320分 61番札所香園寺到着

大きなお寺である。しかも本堂は鉄骨で一見木造風だがビルである。大師堂がないので聞いてみたら本堂と一緒に祀られているとの事。住職に60番札所のことを聞かれた。自転車でどこまで行ったのか気になったようである。途中から歩いたことを言うと、よっぽどのアスリートでない限りはきついでしょうと言われた。しかも荷物があったら絶対無理とのこと。あの坂では確かにそうである。


1410分 62番札所宝寿寺到着

3分で着いた。近い。

私の好きな小さな光である。すぐ横に国道が通っており車の音がうるさくなければ最高なのだが。

お参りを終えた後、タイヤから小さな泡が出ているのを発見。これは間違いなくパンクである。私は四国一周に出る前に、タイヤをチューブレスレディーと言うタイプに替えた。パンクしても自動的にシーラントと言う液体がパンクを防ぐはずなんだが。これはやばいかもしれない。まずは今日のお参りを終わらせて、今後どうするかを考えよう。


1445分 63番札所吉祥寺到着

ここも3分で着いた。ありがたいことに山門横に自転車スタンドがある。

先程の寺と同じようにこじんまりした小さなお寺である。道のすぐ脇にあるので車の音が結構うるさいが、蝉の音も結構響いている。


1525分 64番札所前神寺到着

ここは大きなお寺である。駐車場もめちゃくちゃ広い。晴れてきて暑くなってきた。

しかし、広いだけのお寺かと思ったら山際に建立されており霊場感がプンプンしている。気にいってしまった。本堂も大師堂も葵の紋が入っている。徳川家ゆかりのところなのか?


自転車店を検索していたら良いところを見つけた。この先の通り道でロードバイクの専門店である。しかし、出発する直前に降ってきた。夕立である。雨は気にせず西条の自転車屋に向かう。雨の中を走るのが当たり前になってきた。


1630分 自転車ショップ WINDS BIKESに到着

事情を話すとすぐに見てくれた。店長はベテランで、この人に任せれば大丈夫と一目でわかった。待っている間、店のお姉ちゃんが四国一周ジャージに気がついたようで色々と聞かれた。お遍路と四国一周を一緒にやっていることに驚いたみたいだった。店長の見立てでは、この程度の穴であれば空気圧を下げればシーラントが機能し穴が塞がるはずとの事だった。シーラントが効かなかった原因は、私が設定している空気圧が高すぎる事である。このタイプの自転車で高速走行を頻繁にしないのであれば、もっと低い空気圧で良く、そのほうが走行がスムーズになるはずとのこと。今回は、ほとんどが舗装路を走ることになるので空気圧を高めにしていたのがまずかった。また1つ勉強になった。お礼を言って代金を払おうとするといらないと言う。申し訳ないので払わしてほしいと言ったら「お接待ですよ」と言われたので、ありがたく受けることにした。店の人にお礼を言って本日の宿がある新居浜へ向けて出発。

夕立も上がって空も青空が見えた。ここ数日は晴れても一瞬の青空だったが。これは本当の青空である。

空気圧はだいぶ低くなっているが、走行はスムーズな気がする。初心者の私にとって自転車は未知なる部分が多い。


18時 新居浜の宿に到着

ここは出張中によく利用していたビジネスホテルチェーンである。部屋がどのようなのかわかっており大浴場も付いている。しかも安い。今日は3000円台で泊まれた。自転車は地下の倉庫に預かってくれるとの事。至れり尽くせりである。車がかなりの台数止まっており、このホテルチェーンは相変わらず出張者で潤っているみたいだ。


本日の走行距離は40キロ

距離は少ないが疲れた。登り道はこたえる。


今日の写真



大きな山場の一つである横峰寺を何とかクリアできた。これが一番最初の遍路転がしだったら多分駄目だっただろう。徳島の遍路転がしを経験したのが効いている。やっぱり常日頃から負荷をかけて慣れておくことが大事であると改めて思った。

今日は自転車屋の人にも助けられた。いろんな人に助けられてこの遍路旅が成立していることを改めて痛感した。

明日も遍路転がし札所の65番・66番が待っている。