2021年8月27日金曜日

家路(8月27日)

5時半起床

外は快晴。今日も暑い日が待っている。

そそくさと荷物をまとめる。


7時 宿を出発

まだ日陰は涼しい。通勤の車がそろそろ動き始めており混み始めている。日向に出ると直射日光が厳しくなってきている。吉野川の河口を渡りフェリー乗り場を目指す。


750分 南海フェリー徳島港に到着

切符を買おうとしたら次の便は11時だと言われた。「8時半では?」と言うと、「それは和歌山発です。」と言われた。やってしまった。昨日見たのは反対の時刻表だったのだ。徳島発は8時の便で、今回の減便対象だった。これなら、もっとゆっくり寝てから宿を出てもよかった。しかし、「暑くなってから走るよりはこのほうがよかったかも」と思い直して、11時の便の切符を購入しターミナルで待つことにした。空調が効いていて極楽である。客は誰もおらずターミナルは私1人。この便で行くと和歌山港到着は13時を過ぎる。高野山までは約50キロあり、しかも坂道である。坂道になると思いきりペースダウンする私にとって、本日のお参りは厳しいかもしれない。またフロントバックがだいぶ痛んでいるのも気になる。本日行くか、別日にするか悩ましい。

栃木からの年配の車遍路3人組が来たので話をした。これから高野山へ行くそうである。宿坊は高額なので泊まらないとのこと。私が何日くらいで周って、どういうところに泊まったかを聞かれた。「直前まで到達地点が不明だったため、ほとんど行き当たりばったりでした。」と答えた。3人組は、何箇所か宿坊にも泊まり、非常に良かったそうである。空調の中に1時間程度いたが、体が冷えてきたので外に出た。日陰は非常に涼しく快適である。やっぱり季節は確実に変わっている。


後半の振り返り

・親と過ごせることのありがたさを感じた。

・自分の力でどうしようもならないものは受け入れること。

・根性は重要。最後は精神力がものを言う。

・人のありがたみに助けられた。

・実践こそが人の心を動かす。

・前を向いていけば必ず到達する。

・全てを受け入れる姿勢ができれば、少々のことでは何とも思わなくなる。

・与えることの喜びを感じた。

・素朴なものが好き。特に自然と一体になっているもの。

73番札所奥の院は、お大師様の導きを感じた。

・本質を理解し、それを実践することが重要。体感して腑に落ちるようにする。

・人間の思考スピードには歩くスピードが最適

・今があることが嬉しい。旅ができること自体が幸せ。


11時 徳島港を出港

出港前にたくさんの荷物を乗せた自転車が来た。見たところ20代。これから約3か月かけて日本一周するとのこと。素晴らしい。「頑張ってください」と伝えて乗船した。


客室には行かず、またデッキで風に吹かれる方を選択。陸を離れるにつれて、「やり切ったんだなぁ」という気持ちが湧いてきた。そして、涙が出てきた。なんの涙なのかは、さっぱりわからない。旅が終わる寂しさでもない。不思議な感覚である。昨日は、達成感と安堵感だったが、今日はまた違う。穏やかな気持ちになっている。


海の上で今回の旅を振り返った。

お遍路を始めたのは、どんな世界が見えるのか見てみたいと思ったからだ。見えたのは自分の内面だったのではないかと思う。酷暑、雨、重い荷物に加えて、自力で進むしか手段がない状況に身を置いたことで、自分は一体どのように考え、どのように行動しようとしているのかがよく分かった。最初は、暑い、辛いなどの言葉とそれ相応の表情だったと思う。しかし、外国人サイクリストと出会ってからは、辛い顔をするのはやめて、言葉も変えた。「自分が望んだことをしているのに、この表情はないやろ」と思ったからだ。明らかに自分の内面を見て、自分で行動を変えた。そして、すべてを受け入れ、今を感謝することができれば幸せな人生を送れると分かった。そうすれば、見えない力が背中を押してくれている。お参りの際に納める納め札には「初志貫徹」と記載した。初志は、遍路旅を何がなんでもやり切ることであり、これを貫くことはできたと思う。しかし、これは自分一人の力で貫いたわけではない。いろいろな人に助けられ、見えない力に背中を押されてできたことである。まさに「お陰様」の力である。私は、段位を取得する時のレポートに、「日本人は「お陰様」の精神を持っている。」と書いた。遍路旅が、この思いと繋がった。日本人の原点を掘り起こすのが遍路旅なのである。そして、先ほどの涙は、すべてに感謝する気持ちからきた嬉し涙だったのだ。

これまで、嫌なこともあったし、辛いこともたくさんあった。しかし、今は「私はいい人生を送っている。」と言える。

心が少しスッキリした。今日は一旦家に帰ろう。時間的なこともあるが、高野山へのお礼参りは、もう少し心の中を整理してから行くことに決めた。早朝に出発すれば、日帰りも可能かもしれない。


135分 和歌山港到着

一回来た道のはずなのに、迷ってぐるぐる回ってしまった。コンビニによってドリンク補給と軽い食事をして再度出発。

今日は炎天下である。刺すような日差しである。しかし全く苦痛は感じない。こんな天気の下を走れること自体が嬉しい。明らかにお遍路効果だ。


1710分 大和川に到着

帰ってきたなぁと言う感じ。日が傾きかけているが、のんびり走ろう。


1745分 帰宅

家に着いてほっとした。


今日の走行距離は91キロ


今日の写真


今日はゆっくり休もうと思う。

明日ゆっくり振り返りをしたい。

3 件のコメント:

  1. いろんなことに気づかれて いましたね。
    遍路旅は多くの ことを教えてくれましたね。
    私もブログを読ませて頂いて 多くのことを感じさせられました。
    おかげさまで いい勉強になりました。

    無事ご自宅まで帰られた これが最高に 大切なことですね。

    またご自宅が大切な場所であることも痛感されたかなと思います。

    良い経験をされ とても羨ましくも思います。

    ありがとうございました。

    返信削除
    返信
    1. ありがとうございます。
      無事に帰宅できてホッとしています。
      毎日いただけるコメントに背中を押していただきました。本当にありがとうございました。
      この旅で得た気付きを、これからの生活にどう活かすかで、旅の真価が問われると思っています。
      今後とも、よろしくお願いいたします。

      削除